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クレーム千夜一夜 < 第53話 「いい気分だなあ」の話 >
ちょっといい気分になった話です。帰宅する際に下車するバス停のすぐ側に約50段の石段があります。それを登り切って家に帰ります。幅4メートルで約15段登ると広いスペースに、さらに15段登ると広いスペースに、最後の15段で登り切ります。とても堅固な石段です。昨日、その石段の最初のスペースで90歳前後のお婆さんが、両手に重い荷物を持ったまま「一息」ついていました。「義を見てせざるは勇なきなり」思い切って声を掛けました。「上までお荷物を持って差し上げますよ。ご一緒しますよ」と。するとお婆さんは「ありがとうございます。でも大丈夫ですよ」と遠慮がちに言ってきました。今休んでいるのに「さあ、登りましょう」というのは迷惑かな?と頭をよぎりました。でも思い切って「いや、お荷物を持って差し上げますよ」と伝えると「そうですか、ではよろしくお願いします」と返ってきました。残り約30段は私にとっては容易なことですが、90歳前後のお婆さんにはきついでしょう。世間話をしながらお婆さんのペースで1段ずつゆっくりと登りました。「スーパー○○でお買物ですか?」「この石段は結構大変ですよね」などと、おしゃべりしながら、2~3分で登り切りました。「ありがとうございました。助かりました」とお婆さんは丁重にお礼を述べられて、お互いに右と左に別れました。
石段を登り切った勢いからか、私の歩き方は、平地なのに微妙に弾んでいます。あらまあ、気持ちまで何だかフワフワ弾んでいる、と感じました。そういえば、十数年前の産業カウンセラーの資格養成講座で習ったような気がします。人間の脳内で「オキシトシン」という幸せホルモンが分泌されると、とても良い気分になるそうです。逆かなあ?いい気分になると「オキシトシン」が脳下垂体から出てきて、さらにいい気分になるのかしら。どちらが先かは、今度、調べてみます。脳内で心地よい気分になるホルモンには、「オキシトシン」の他「ドーバミン」「セロトニン」などがあるようです。脳内の「幸せホルモン」と呼ぶそうです。そうか、あらためて気づきました。他人に良いことをすると自分まで良い気分になることを。世の中の多くの人が善行を積めば、カスハラなんて無くなるのになあ、戦争なんて無くなるのになあ。