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クレーム千夜一夜 <第42話 買いたいならば昼に来い!>

Y駅のそばにある百貨店に有名ブランドのパン屋さんがテナントとして入っています。そのパン屋さんに行ったときの話です。ほとんどの人が知っているといって良いほどの有名ブランドのパン屋さんです。この百貨店に入る前にはY駅の別の商業施設で開業していました。そのとき以来ですから、私はいわば20年来のお得意さんだと自負しています。

先日、いつものように夕方4時半頃にY駅のこの百貨店のそのパン屋さんで、やはりいつも通り「自慢の逸品」と謳っている四角いオリジナルの食パンとガーリックパンを買いに行きました。置いてあるはずの棚には「自慢の逸品」の食パンがありません。2日前も、5日前にも、同じ夕方4時半頃でしたが「自慢の逸品」の食パンが売り切れていたのです。夕方4時半というと食料品フロアには多くのお客様が買物に来る時間です。1度ならいざ知らず、2度3度と「売り切れ」というのはどういう商売をしているのだろうと感じていた私に、販売員は悪びれる様子もなく、むしろ明るい声で「売り切れなんですよ」と答えてきたのです。『仏の顔も三度まで』でしょう、私は思わずその販売員に「おとといも、その2日前も今頃買いに来たんだけど売り切れになっていたよ。もう少し作る量を考えた方がいいんじゃないの・・・?」と言ってしまいました。するとどうでしょう、この販売員から思いがけない言葉が返ってきたのです。「12時頃に来ればあるんですけどね・・・」あらまあ。一瞬のうちに私の頭の中にある『翻訳機』が通訳をしてくれました。「今の時刻に来たって駄目ですよ。人気のある『自慢の逸品』なのですぐ売り切れてしまうんですよ。どうしても欲しいなら昼頃に来なければ駄目ですよ、そうすれば買えますよ」

この販売員に何を言っても通じないと感じた私は何も言わずにそのパン屋さんを後にしました。34年間百貨店で働いていた私には、わざわざ足を運んでくださっているお客様に、「昼に来れば買えますよ」という言葉は存在しません。しかも、夕方は食料品売場には多数のお客様がお越しになる『ゴールデンタイム』ですから、そんな絶好の時間帯に商品を切らせてしまうなんて、商売をどのように考えているのでしょう。人間には失敗はつきものですから、たまさかゴールデンタイムに商品を切らしてしまうこともあるかもしれません。そうであれば、精を尽くしてお詫びするのが『商売』というものなのです。

子供の頃に何度か耳にした言葉で「明治は遠くなりにけり」というのがありました。今の私には「昭和は遠くなりにけり」と寂しく感じた日になってしまいました。

2022.09.04
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