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クレーム千夜一夜
第2夜<電話応対は難しい>
今夜は、知り合いの主婦からのお話です。
その主婦は、ある化粧品会社の「問合せセンター」に電話を入れてみました。この主婦は、人と話をするのが苦手な人でしたので、今まで問合せなどしたことがありませんでした。問合せの内容は大したことはないのですが、たまたま確認をしてみたくなったことがあったのです。
電話の“向こう”では明るい声と聞きやすい話し方の女性スタッフが応対してくれました。主婦はその声を聞いて安心しました。女性スタッフの非常にスマートな電話応対で予想通り、期待通りに的確な回答をしてくれたので無事疑問は解消しました。その疑問が解消されると次はなぜか別な疑問が主婦の頭に“ふと”浮かんできました。「この女性スタッフなら大丈夫」と変な自信を持った主婦はその疑問をぶつけてみました。すると今度は「ちょっとそれは分かりかねます。お客様からの声が多いからとしか申し上げられないのですが・・・。」という予想を大きく外れた回答でした。普段ではここで引き下がってしまうのですが、何だかあまりにも“期待外れ”と感じた主婦は、さらに「あなたが分からないのなら分かる人が説明して下さい。」と自分でも驚くほど強気に言ってしまったのでした。女性スタッフはうろたえながらも、「分かりました。上司からご連絡をさせていただきます。」という回答が返ってきました。ここまで突き進んでしまったら止まらないし戻れません。「連絡って、いつ連絡してくれるの?」 女性スタッフは「何日とは約束できませんが連絡させます。」という苦しまぎれの回答。「いつだか分からないだなんて・・・。それはないでしょう。明日なのか、来週なのか、来月なのか、分からないじゃないの。」すると女性スタッフは「それでは明日ご連絡をいたしますが・・・」という回答がやっと返ってきました。しかし、主婦は「明日って言ったって、私は昼過ぎには出かけるし、いないときに連絡をいただいても仕方がないし・・・。かえってそちらに迷惑をかけてしまうじゃない。そんなのいやだわ。」 女性スタッフは「分かりました。昼過ぎに外出でしたら、明日の午前中か夜にご連絡させていただきます。」という回答でやっとおさまったということでした。
この事例から学べることは何でしょう?
1つ目は、
「文句」や「クレーム」など言うはずがない、言えないと思えるようなタイプの人でも、ある言動がきっかけで「ずるずる」とクレームに入ってしまうことがある、ということです。私は絶対にクレームを言わない、という人でも環境によってはクレームの「渦」に巻き込まれてしまうことはあるということです。
2つ目は、
企業側がお客様に連絡をすると回答した場合は、具体的な時刻や日付を言わないといけません。お客様自身は、自分がクレームを申し入れたことなので以降はいい加減な行動はできない、と考えがちです。それはそうでしょう、連絡を貰える日時が明確でなければ、今日は連絡が来るかもしれない、クレームを言って3日目だから、今日あたり連絡が来るだろう、明日は来るかもしれない、と電話を受けることで毎日の行動が束縛されてしまうからです。外出などできません。こんな曖昧な回答をしてしまうと、お客様が企業に良い印象を持つはずはありません。上司が電話するときは、最初からお客様が不満を持った状態で話をすることになります。スムーズに解決できる可能性は最初から低くなってしまいます。やはり明確に日時を伝えましょう。
「えっ?上司の予定が分からないのにそんな明確な日時を勝手に伝えることなどできません。」という声が聞こえてきそうですが、そんなことはありません。もちろん、上司の都合も分からないのに勝手に約束をしてはいけません。そうではありません。「かしこまりました。30分ほどお時間をいただけますでしょうか?上司と相談してご連絡できる日時をご報告いたします。」といえばよいのです。上司と相談した結果をお客様に報告すればこの悩みは解消できます。これは電話連絡の場合だけでないことは言うまでもありません。
まずは、お客様の「不平・不満」感情を出来る限り下げた状態にしてから、話し合いを進めることはクレーム対応の基本中の基本です。