新着情報
クレーム千夜一夜 第8夜 若い女性コーチ
身体がなまっているので、今日は久々にスイミングスクールに行ってきました。以前から平泳ぎは何とか泳げていたのですが、いかんせん自己流でしたので、専門のコーチに一から習おうと思いついたのです。初心に戻って初心者コースで習いました。
優しそうな、しかも若い女性のコーチでした。幸か不幸か、生徒は私ひとりでした。わくわくしながら、胸をときめかせながら若い女性コーチを“独り占め”できる喜びに満ちながら開始の時刻を待ちました。“手取り足取り”教えてもらうことを夢見ながら、とうとう、開始の時刻を迎えました。
「こんにちは、本日指導をいたします、○○と申します。よろしくお願いいたします。「あ、川合です。よろしくお願いいたします。」
と挨拶の交換を終えて指導に入りました。
「今日は最初ですから足の練習だけを行いましょう。」ということでプールの端を手でつかみ足の動きの説明を受けました。なんでも、足の先は踵のところで鋭角に内側に曲げるように、つま先を手前にあげるようにするのだそうです。
そして、両膝で円を描くように外回りで廻すように足を動かすのです。
若い女性コーチの説明が終わると「はい、やってみましょう。」
<よし、ちょっとかっこよいところを見せてやろう・・・・。え~っ?あれ?なかなかできないな。だいたい踵が曲がらない。私の踵はそんなつくりになっていないよぉ。>
「踵を曲げてください。いえいえそうではありません。つま先を手前に持ってくるように・・・。ハイ結構です。」若い女性コーチは優しく語り掛けてくれます。「踵を伸ばすのではなく、直角になるように曲げて推進力をつけますので、こんな具合に曲げてみましょう。それではもう一度。」
<できるかな~?最初は意識しているんだけれど、やっているうちに踵が伸びてしまうんだよな、だいたいプールの端をつかんでいる手も痛くなってきたよ>
「そうではありません。踵を曲げて、曲げてください。そうです!いいですね。」
「あれ、膝が下に落ちていますよ膝は下に落ちないように・・・。そうではなく、おなか側に行かないように、外に向くように膝を上げてください。」
<膝が下がっている?必死にやっているから下がっているかどうかも分からないよ。だいたい、そんなに一度にはできないよぉ。>
「両足のひざはくっつけてはいけません。足を伸ばしたときだけくっつけます。そしたらすぐに肩の幅で離してください。あ、また膝がくっつきましたね・・・。はい、結構です。足を下ろしてください。」
何でも、踵を直角にすること、膝を丸く外側に動かして、その際に水面すれすれのところで維持をするのだそうです。もちろん、膝は肩幅を意識し、足を伸ばした瞬間のみ、くっつけるように・・・だそうです。
「さあ、今の注意事項を意識してもう一度やってみましょう。」
<ちょっと私には無理だな。他に生徒がいれば、身体も“気持ち”もちょっと休めるんだけどな・・・。だいたい、一度に3つも4つもできないよ。困ったなあ。俺には無理だよなあ>
「はい、膝が落ちていますよ。そうではなく、足で水を蹴るのではなく、膝で円を描くように・・・。そうです、いいですね。」
「あれあれ、膝が付いていますよ。肩幅を意識して・・・」
<いやあ、そんな芸当できないよぉ。ひざを外に向けて円を描くように廻しているつもりなんだけどな。だいたい、ひざが言うようには外に向かないよぉ!>
「水を足で蹴ってはいけません。開いた足を「グッ!」と閉じてください。閉じたときに推進力がつきますから・・・」
「はい、お疲れさまでした。今日の指導はこれで終了しましょう。」
<え~っ?結局、よく分からなかったなあ。>
20分間でしたがすぐに終わってしまいました。
指示されたことがほとんどできず、何だか腰に痛みが残ってしまいました。あの若い女性コーチは、「皆さん、なかなかできないものですよ。皆さん同じですから・・・。」と慰めてくれたのですが、疲れと腰の痛みと混乱だけが残ったスイミングでした。
何も私はオリンピックの選手になりたいから、とお願いして指導を受けているわけではありません。
単純に、平泳ぎを「すいすい」と泳ぎたいだけなのに・・・・。
もちろん、最初が肝心で、変な泳ぎ方の“癖”が付いてはいけないし、基本を時間を掛けてやるべきだ、という理屈は分かります。
しかし、しかしですよ、
「ちょっと自己流で構いませんから、5メートルくらい泳いで見ましょうか」と最初は自由に泳がせてくれればよいのにねえ。
その際に、「なかなかいいですね~。泳げているじゃないですか。上手ですよ。ただ、足の踵が伸びていますから、直角を意識してやってみましょう。それでは今度は10メートルくらい泳いで見せてください。」
と注意点を一つくらいに絞って泳がせてくれればよいのにね。
初心者に一度に注意点を与えると混乱してしまうので、少しずつ教えて直していく。“褒め”を多用しながら平泳ぎの泳ぐ面白さ・楽しさを味わいながら徐々に上達するような教え方をするコーチ、そういうコーチいないかなあ・・・?
結局、プールを出て着替えて外に出たときには、「もう、2度と平泳ぎなんて習わないぞ、と心に誓った私でした。