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クレーム千夜一夜 < 第72話 「これほど感じ方が違うとは・・・」の話 >
以前、バス車内での出来事について投稿しました。半年くらい前だったと思います。内容は、杖を持ってバスの降り口のポールにつかまっていた女性に、70歳前後の心優しい女性が席を譲ろうと近寄り腕を軽く叩いたら「触らないで!」と車内全体に響きわたるほどの怒鳴り声が聞こえた、というものでした。その時は、ひどい女性だ、というよりもその女性は怒鳴りたくなるような理由があったんだろうな、と「善人ぶった」ことを書きました。
ところが、昨日同じようなことを実体験しました。私はバスの右側前方を向いている一人席に座ってました。左側1.5メートルには降り口があるところです。全く気付かなかったのですがふと左横を見ると、杖を手に、もう一方の手でポールを掴んでいる女性がいたのです。走行中の人の移動は事故のもとですから、バス停に停まった時を選びました。停止を確認しその女性に席を譲ろうと分かるように小さな声を上げながら大きく手を振ったのです。3度も手を振ったのですが気づきません。座ったままでは手が届かないので、私は座席を立ってその女性に近づき肩のところを軽くタップしたのです。ところが、タップしたと同時にその女性は無言で身体ごと振り切って拒否の姿勢を見せたのです。その動きたるや、汚い手で触られてとても耐えられないとばかりに私の手を振り切るような身体全体の動きでした。
半年前は、他人ごとのように「その女性が怒鳴るのはそれなりの理由があるのだろう、理解してあげないと」などと分かったようなことを書いてしまいましたが、昨日の場合は当事者は私でした。心の中では「何て酷い女性、常識の無い女性、優しさのない女性」という言葉が渦巻いて踊っていました。「この様な行動をせざるを得ないような、その女性なりの理由があるのだろう」なんていう心の余裕は全くありませんでした。悔しさと怒りと悲しさを混ぜ合わせた私のモヤモヤはその後もずっと消えませんでした。他人事で見ていたのと当事者になったときの気持ちの持ちようがこれほど違うことを実感いたしました。いるんですね、こういう人が。