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クレーム千夜一夜 < 第73話 「ちょい悪親父・・・」の話 >
バス車内での出来事です。バスの後方に座っていた私が見たのは、降り口のすぐ横のつり革に掴まっていた80代半ばの二人の男性でした。二人ともカウボーイハットにサングラス、革(?)風のベストにジーンズという姿でした。あれ?『ちょい悪親父』?会話の内容は分かりませんが「昭和、平成、令和と時代は変って△&$#%・・・」と楽しそうに話をしていました。バスが停留所に停まりましたが、降車ブザーを押した乗客はいなかったので降り口のドアは開かずに前方の乗り口が開きました。すると『ちょい悪親父』の一人が乗り口に向かってダァ~っと走りそのまま降りていきました。「はは~ん、お喋りに夢中で降車ブザーを押し忘れ、慌てて入口から降りていったのか」と思いました。するとどうでしょう、『ちょい悪親父』が乗り口から二人乗りのベビーカーの前を持って入ってきたのです。30台半ばの母親が押し手を持って乗ってきました。やるじゃないの『ちょい悪親父』と感心しているうちに、私が降りるバス停となったので降り口に進もうとしたら、例の『ちょい悪親父』が二人乗
りのベビーカーの前を持って、母親は押し手を持ってバスを降りたのです。その後に私が降りると、50段近くの階段の下で『ちょい悪親父』と母親がベビーカーを持って階段を上ろうとしていました。「義を見てせざるは勇無きなり」私は母親に「私が片方を持って上がります」と伝えると母親は、ベビーカーを軽くするために3~4歳くらいの男の子を降ろして歩かせ、1歳くらいの赤ちゃんを抱きかかえたのです。それなら、ベビーカーは一人で持てると思った私は「ちょい悪親父」に「私が持って上がりますよ」すると「いや私が持って上がりますよ」と返ってきたのです。「それでは二人で持ち上げますか?」と私。「いや一人で大丈夫」と『ちょい悪親父』はベビーカーを持って階段を登り切ってしまいました。後ろに付いて上がった私が「ちょい悪親父」に「ありがとうございました。それにしてもお若いですねぇ」と伝えると、「いやあ84歳だよ」ちょっと自慢げで照れた言い方に、「かっこい~い」と感じた私でした。