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クレーム千夜一夜 <第46話 飛び出してしまったとんかつ >
先日、某有名百貨店Aの地階食料品売場で惣菜の買物をいたしました。とんかつでも買おうと思い、揚げ物のエリアに行くと、「とんかつ」で有名なB店舗と同じくライバルのC店舗がありました。隣り合わせの2つの売場のガラスケースの間は、スタッフが出入りできるように50㎝くらい空いていました。考えあぐねた結果、A店舗のとんかつに決めてスタッフに注文しているときでした。C店舗のスタッフが、「ばん重」(縦 約80㎝×横 約50㎝×深さ 約10センチの四角い箱)を3段重ねにして売場の外側から持ってきたのです。「ばん重」の中には、パン粉をつけた状態、あとは売場の厨房で揚げるだけで良い「半完成品状態」の具材がたくさん入っていたのです。「すみません」という声がしたときでした。私の横(ガラスケースの合間)から入ろうとした瞬間、ドサドサ、バターンという音がしました。スタッフの手から「ばん重」が床に滑り落ち、中に入っていた具材数個とパン粉がドサッと外に飛び出したのです。落とした「ばん重」は、革靴を履いていた私の右足の上に、かすかではありましたが触れました。もちろん、革靴の上ですから痛い、とは感じませんでしたが「ばん重」の重みは感じました。回りのお客様も含めて皆さん驚きました。一番驚いたのは「ばん重」を運んできた30歳前後のスタッフだったでしょう。飛び出た具材とパン粉を慌てて拾い集めて別の袋に入れていました。同じく、販売していたC店舗のスタッフも売場の外に出て拾い始めました。皆さん必死の様子がうかがえました。しかし、考えて見ると、痛くはありませんでしたが、3段重ねの「ばん重」を靴の上に落とされた私は被害者です。C店のスタッフは私には全く無関心でした。当たり前でしょう、大変な事態を何とか復旧させなくては、という思いで必死なのですから。さすがに見かねたのか、私が注文していたライバルであるB店舗のスタッフが私に声をかけてくれました。「お客様、申し訳ございませんでした。大丈夫でしたか?お怪我はございませんか?」「あっ、大丈夫ですよ。何ともありません」と返してB店舗のとんかつを買物袋に入れて売場を後にしました。それにしても気が動転していたので仕方が無いという考え方はありますが、やはり、「お客様第一」です。どんなときにでもお客様に対する気遣い・心遣いはないといけません。C店舗のスタッフ、特に売場内にいたスタッフがお客様に一言声かけしないといけない場面でしょうね。「大変失礼いたしました。お客様、お怪我はございませんでしょうか?お召し物は汚れませんでしたでしょうか?申し訳ございませんでした」と言われたら多くの「被害者」は、「大丈夫、何ともないですよ」ということで終るでしょう。
こういう事態はいくらでも考えられることです。怪我でもしていたら、お召し物が汚れてしまったら、今回のような対応では、ことはもっと大きくなってしまうかも知れません。日常からの「教育」の必要性を感じた出来事でした。