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クレーム千夜一夜 <第36夜 分かりません>
通信販売の購入代金を支払うためにコンビニに行きました。払い込み用紙にはゆうちょ銀行の『払い込み取り扱い票』が印刷されていて、切り取り線の横にはコンビニでも払い込みが出来るようにバーコードが印刷されています。何故コンビニに払い込みに行くかというと手数料が無料だからです。
いつも利用するコンビニA社ではなく、先日は駅のそばにあるコンビニB社で払い込みをすることにしました。B社は対象コンビニになっているかなあ?でもB社はコンビニ大手だから大丈夫だろう、と確認しないままレジに並びました。
私の順番が来てレジの女性スタッフに払い込み用紙を見せて「これで代金の払い込みできますか?」と尋ねてみました。想定外の言葉が返ってきました。「分かりません」という一言でした。あらまあ、なんと冷たい響き。私が「あれ?」という表情をしたからでしょうか、女性スタッフは「バーコードが読み取れない場合がありますから・・・」と言い訳のような言葉を発し、続けて「使えない場合がありますがよろしいですか?」と返事を求めてきました。【よろしいですか?】ですって?「よろしくありません」とは言えませんから私は「ちょっと調べて貰えますか?」と払い込み用紙と代金を手渡すと、事務的に受取り、スキャンして料金を収納し何事もなかったかのようにレシートを手渡してくれました。無事に代金の払い込みができてよかった、と思わなければいけないのでしょうが、コンビニを出た私はどうも気持ちに刺さるものがありました。
女性スタッフとのやりとりを仮に文字で書いて第三者が読んだとしてやりとりに大きな問題はないのでは・・・?と思われてしまうかもしれません。だって、私が尋ねたときには女性スタッフは払込用紙を手に取って詳しく見ているわけではないので使えるかどうか分からない状況ですから・・・。「分かりません」や「使えない場合も・・・よろしいですか?」も女性スタッフとしてはそのくらい言っておかないと、後でクレームになったときに困るのでは?『保険をかけておく』のは当然なのでは?という声が聞えてきそうです。
でも、ちょっと違うんですよね。このような「分かりません」や「よろしいですか?」という相手に寄り添っていない『返し』は、相手に不快感を与えることがあります。もっと相手に寄り添う、相手の不安に何とか応えようとするような『返し』だと相手に与える印象は大きく違ってきます。
お客様に尋ねられて確実な回答ができるか不安になることは誰にでもあることですから大きな問題ではありません。だからといって、そこで払い込みが出来なかったときの方便として「言い訳的」「防衛的」な言葉を返してしまうと、事務的な冷たい言葉に聞えてしまいます。しかも、最後の「使えない場合がありますがよろしいですか?」は「使用できない場合でも私の責任ではありませんよ。だって『よろしいですか?』とあなたに確認しましたよね!」と主張出来る『確実な保険』といえるからです。
相手の不安な気持ちに寄り添えるような表現をもっと積極的に活用すると良いですね。
こんなやりとりが出来ると良いですね。
私「この払い込み用紙はここで使えますか?」
スタッフ「はい、すぐにスキャンして確認してみますね」
私「お願いします」
スタッフ「お客様、よろしかったですね。払い込みができるようです」
私「ああそうありがとう。それでは代金の●●円、これでお願いします」
スタッフ「●●円ちょうどお預りします」
スタッフ「ありがとうございました」
となると私はとても気分が良いままコンビニを出ることが出来たはずです。