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クレーム千夜一夜 <第30夜 「小さな気遣いの積み重ね」>
午前中の雨の中、宅配便の配達員が荷物を届けてくれた。思わず私が「雨の中、大変ですね、ありがとうございます」と伝えると、笑顔で「こちらこそ朝からすみません」と言って帰って行った。
夕方、近所のスーパーで買物をした。野菜と肉類をスーパー備え付けの『かご』の中に入れ、持参した折りたたみ式の布袋も『かご』に入れて会計をしようとし
た。
応対してくれたスタッフは、もう少し愛想をよくすればいいのに、といつも感じている女性で、スピーディーに金額をレジに入力し、入力し終わったものを新しい『かご』に入れていった。レジの入力がすべて終わり、最後に『かご』の中には折りたたみ式の布袋だけが残った。「これ、お客様のですよね」とスタッフが尋ねてきたので「そうです」と返した。「3,520円になります」と言われたので支払いをしてレシートを貰った。入金済みの商品が入った『かご』を私の方に滑らして寄こした。同時に、中に折りたたみ式の布袋だけが入っていた空(?)の『かご』もそのまま横にずらして私の方に寄こした。
あらまあ、どうして2つも『かご』をこちらにずらして寄こすんだろう?私は少し違和感を抱いた。親切心があるならば、布袋だけが入っている 『かご』から取り出して出して「袋、こちらに入れておきますね」と一声かけて『かご』を一つだけ寄こせばいいのに、あるいは、布袋だけを手に取って「どうぞ」と手渡してくれてもいいのになあ、と一瞬感じた。惜しい!
宅配便の配達員の「こちらこそ朝からすみません」の一言、スーパーのレジ担当者のほんの僅かな言動、ちょっとしたことでお客様が受ける印象はまったく違うものだ。
もちろん、お客様の考え方は多種多様だ。私と同じように感ずる人もいれば、「そんなことはどうでもいいよ」と感じる人もいるだろう。いろいろです。
しかし、そんな小さなことにエネルギーを使うのは・・・?などと思うなかれ。相手に合わせて、相手が喜ぶような小さな気遣いが出来るスタッフがいるか?いないか?で大違いだ。
えっ?「相手が喜ぶかどうかもなんて分かりようがないし、相手に合わせた言動を、なんて簡単なことではないよ」という声が聞こえそうだ。
おっしゃるとおり!相手の気持ちなど簡単には理解出来ないのは当たり前。だからこそ、相手の気持ちに合わせるように『努める』『合わせようとする』その意識が大事なのだ。
このようにスタッフ一人一人が小さな気遣いを「しようとする」意識があるか?経営者・管理監督者がそのあたりを意識して指導しているか否かで、その企業・その店舗がお客様からどのような評価を受けているのかが見えてくる。経営者は、『小さな言動の積み重ね』が売上・利益に大きな影響を与えていることに気付くといい。