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クレーム千夜一夜 <第6夜 私の会社は完璧です。>
一昨日、5年半に亘って愛用してきた携帯電話がとうとう壊れてしまいました。小さくてポケットに入る大きさで当時では最新型のお気に入りの黒の携帯でした。1年くらい前から、わが愛妻からそして子供たちから「スマフォに替えないの・・・?」と何度も言われてきたのですが、60歳を過ぎた“おっさん”には得体のしれないスマフォにすぐに飛びつくわけはいかず躊躇していたのです。しかも今までは、利用するにしても電話か、携帯メール以外は使用していなかった携帯電話であり、その機能だけで十分だったし、いまさら様々な機能が付いたスマフォを買っても意味がないと思っていました。
そういう愛着のある携帯電話ですが、いざ壊れてしまうと不便そのものです。誰とも連絡が取れないのです。公衆電話で連絡しようとしても、愛妻や子供の携帯番号も知らないのです。
しかたがなく、仕事帰りに携帯電話通信会社の●●●ショップに寄ってみました。15分ほど待たされて順番が来ました。座ると同時に「冷たいお飲み物とあたたかいものとどちらが良ろしいですか?」とカウンター越しのスタッフと別なスタッフが尋ねてくれました。「それじゃあ冷たいものを」随分サービスがいいところだな、と好印象でスタートしました。カウンター越しの女性スタッフは若い方ですが見た目ちょっと怖そうな感じでした。
私は、初心者程度ではありますがパソコンやインターネット、パソコンメールを良く利用しています。しかし、スマフォのことなど一切分からない人間です。携帯電話の通信の仕組みすらも分かりません。パケット料金?Wi-Hi?アカウント?自慢してはいけませんが全く分かりません。
そういう“素人”を相手にしなければならない携帯電話通信会社スタッフは応対は私たちが想像する以上に大変なんでしょうね。スタッフが回答してくれた内容を理解できないのですから。その“素人”の私ではありますが、10月にスマフォの新製品が大量に出ることだけは知っていました。ですから、携帯電話が壊れてしまったのを良い機会と思い、スマフォを買おうと決心したのですが、今ではなく10月に買った方が新製品の良いものが買えると思っていたのです。
これらの事情を目の前のちょっと怖そうな女性スタッフに伝えました。すると、「それでは、10月下旬に新製品のスマフォをお買い上げになることにして、その間ご不便でしょうから今までの携帯を修理し、修理期間中は携帯電話をお貸しする方法と、今までの電話を修理せずに廃棄し、同じような形式のお安い携帯電話をとりあえず買い替えで購入する方法とありますがいかがいたしましょう。」と親切に教えてくれました。とはいうものの、この間、約40分かかりました。私が素人であることが一番の原因ですが、たったこれだけのことの説明の中に、なぜか、通信料金のシステムの説明をしてくれたり、家族割引の話をしてくれたり、今までの溜まったポイントの仕組みを教えてくれたり、親切なのか、別に知りたい情報ではないものの説明に時間をかけているのか、私はそんなこと尋ねていませんよ、と言いたくなるようなことまで“親切”に教えてくれました。結局、私には全然と申し上げてよいほど分かりませんでした。さらに、携帯電話の故障を調べますと言って奥に入って待たされ、携帯に登録してあったデータについて質問すると、また、確認して参りますと奥に入って待たされました。
提案してくれたアイデアは素晴らしいので、それぞれ費用はどのくらいかかるのかを確認しました。修理する場合は、修理代金は1万5千円くらい、貸し出しの携帯は無料です。安い携帯電話をつなぎ的に買う場合ですと、3万5千円くらいですが、今は1万9千円になりますが、さらに6000円割り引くというお得なサービスがありますので1万3千円くらいになります。
なるほど、新しい携帯電話を買った方が3千円安くなるので、そちらをお願いしました。すると、また5分くらい待たされて、何かパンフレットを持ってきました。1万3千円になるには、①その通信会社のクレジットカードに入ること。1回でも使用すれば年会費は無料だそうです。②iアプリに二つ加入すること③??に加入すること? という3つの条件を満たさないとサービスは受けられないそうです。「え~っ?加入するためには費用がかかるの?」「はい、②は月々5百円③は月々???百円かかります。」「それじゃあ、毎月千円近くかかるんじゃないの。修理した方が安くなってしまうんでは?先にそれを言って欲しかったな。だいたい意味がよく分からなくなってしまったよ。」と言うと、途端に表情が険しくなり、「その条件を受けられなければサービスは受けられません。」という言葉が返って来ました。なんだか勧め方が気に入らなかったので、修理をしてもらうことになりました。その後がまた大変でした。修理に伴い、携帯電話のデータが消失してしまうことがあるので了承して欲しいこと、データを取り出す際にパスワードを教えてもらいたいと尋ねられました。データを登録する際のパスワード?そんなこと覚えているはずがありません。そのことを言うと「それでは、パスワードを入れていないということですね?初期設定のパスワードでよろしいですね?」「え~?私は覚えていないと言ってるのです。初期設定のパスワードでよいとは言っていませんよ。」さらに私が「設定したとしたら別なパスワードを入れるはずですが・・・」「それではそれを教えてください」と電卓のような機械でその可能性のある番号を一つ入れました。「では、この番号でよろしいですね?」「え~?ちょっと待ってください。パスワードはいろいろ設定していますから他の可能性もあるのですが・・・」「じゃあ、そちらも入力してください。」というやりとりを4~5回行いました。最初から可能性のあるパスワードをいくつでも入力してください」と言ってくれれば済んだのに・・・。
修理期間中に貸してくれる携帯を奥から持ってきてくれました。白い紙に携帯の形状が書かれており、キズのある個所にマークが入っていました。「どうぞご確認ください。この用紙にギザギザマークが描かれているところが現在キズのある個所です。返却時に再度確認をさせていただきます。」と携帯電話とギザギザマークの書かれている用紙を渡されました。表面をへこませてしまうと3千円、キズを付けると2千円補償するなどと書かれていました。これは慎重に調べないと、へこませていないのに保証しなくてはいけなくなると思い、「紙にはギザギザが書かれていないけど、ここの表面がはがれているよね。ここもそうだし、ここも、と4か所くらいを指摘しました。すると「あ、それは結構です。それはキズではありませんから大丈夫です。」「・・・・?」目が点になってしまいました。嫌ですよね、借りる前に白紙にマークを付けてもらわないと、返却時に指摘されて「え~、これは良いと言ったじゃないの・・」と水かけ論になってしまうのに。「それは大丈夫です」でえすって?それはあなたがいう言葉ではないでしょう。
最後、何とかエンディングになりました。すると、約款のように書かれた「確認書」を4枚持ってきて、目の前で細かく書かれた各項目を「代替品の貸し出しについてはご説明しましたね」と言いながら、細かい内容の上に書かれている大項目をマーカーでなぞりました。「データの移行についてご説明をいたしましたね」「修理についての説明をいたしましたね」と10項目位に亘って各項目をマーカーでなぞっていました。
え~?聞いたけど理解などしていないよ。内容なんてよく分からないよ。私が「良く分かりませんでした。」という勇気ある発言をしなかったから、何かトラブルになっても私の責任になるのでしょうね。もちろん、スタッフがその行為をすることは携帯電話の通信会社としては当然のことなので問題はありませんが、私の印象は「何これ~。ちょっと初心者に冷たいのでは?冷たい飲み物を出すことがサービスなの?もっと利用者の気持ちを分かってあげた方がいいのでは?」と考えたのでした。結局、このショップに入って出るまでに90分かかってしまいました。あ~あ、ここのスタッフも長時間大変だなあ。あ~あ、しかし、なんか心に“すきま風”が吹いた出来事だったな~。いやだなあ~、修理が完了して借りた携帯電話を返しに行くのは気が重たいなあ。