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クレーム千夜一夜   第5夜<潔いと感じた謝罪・・・>

つい数カ月前に還暦を迎えた女房。還暦を迎えた途端に「身体が痛い」「疲れる」と急に歳をとったかのような発言が目立ち始めました。

一方、わずかではありますが「年金」が貰える歳にもなったと喜んでもいます。

その女房と、年金受給の申請に行こうということになりました。
1年前に自分の年金受給申請をしたので、女房の分も簡単に申請書類を作成できるだろうとチャレンジをしてみたところ、分からないところだらけ、
日本年金機構に電話で聞きながら記入をしました。
もちろん、丁寧に教えてくれました。
申請時に持参するものはその申請書類以外は無い、とも言われたのでした。

翌日、女房と一緒に横浜駅のそばにある年金事務所に行きました。
かなり混雑していて入口の受付で簡単な説明を聞いて約30分ほど自分の順番を待つことになりました。
30分は短い方だそうで、やっと自分の順番が来て申請受付のカウンターに入りました。
書類を受け取った男性係員は書類を見ながら「住民票と戸籍謄本はございますか?」と言うのです。
私は「昨日、日本年金機構に電話して教えていただいたのですが、そのときには提出する申請書類以外に持参する書類は無い、と言っていましたよ。」
とちょっと自信に満ちた声で伝えました。
すると、その男性係員は「いや、そうですか・・・。戸籍謄本か抄本と住民票を持参するようには言っておりませんでしたか?」
と丁寧に返してきました。
私はさらに力を入れて「いや、何も要らない、と教えてくれました。」と伝えたのでしたが、
一瞬、そういえば、昨年自分の申請をするときには区役所に書類を貰いに行ったかもしれないな、
と頭の隅でほのかに浮かんできましたがその記憶は曖昧ですし、既に口から出てしまったことを今から取り消すことはできない、
ということから相変わらず「いえ、言われませんでした。」とやや強気に応えたのでした。
すると、相手の男性係員から思いがけない言葉が口から出てきました。
「いやあ、そうでしたか。それは失礼いたしました。申請書類以外は持参することは無いと言ったのですね、そうだとしたらその係員は失格ですね。
担当者のミスかもしれません。申し訳ございませんでした。この通りです。」
と頭を深々と下げてお詫びの言葉と態度を示してくれたのでした。
予想もつかない言動に私の方が慌ててしまいました。
「いやあ、私の聞き違いということもあるかもしれませんから・・・。」と思わず返してしまいました。
結局、この年金事務所のそばにある駅の行政サービスセンターが徒歩で3分くらいのところにあるので、
そちらで住民票と戸籍謄本をもらい、あらためて出直しをしていただけないでしょうか、と丁重にお願いをされ、
30分後に再度年金事務所で申請をし直し無事に終了したことがありました。

それにしても“上手いなあ”、とあらためてこの年金事務所の男性係員に感心しました。
こちらの言い分を何ら否定することなく、そのまま受け容れてくれたからです。
もちろん、再申請という煩わしさはありましたが、私の言い分を否定せずに受け容れてお詫びをしてくれたのです。
「いやあ、私たちはそんなことを言うはずはありません。何十人、何百人の申請者の相談に乗っているのですから、
それは考えられません。」と返されるだろう、と思っていた私はむしろ、すっきりした感じで駅の行政サービスセンターに向かったことを今でも覚えています。

謝罪するときは思い切って謝罪する、潔くお詫びをする、が謝罪の大原則でしょうね。
もちろん、こちらに非があるかどうか不明な時は責任を認めるような謝罪や発言をしてはいけません。
しかし、相手の気持ちを受け容れるような謝罪は相手に好印象を与える、ということをあらためて感じた出来事でした。立派立派。

2012.05.31
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