新着情報
クレーム千夜一夜 <第43話 企業目線だけの発想>
10年以上前から、懸賞に応募しています。主に、食品会社の商品の袋に印刷されている1㎝四方の『点数』だとか、『マーク』を集めて郵送しています。所定の台紙に『点数』や『マーク』を貼付して送ります。台紙には貼るスペースが印刷されていますので、貼った枚数は一目瞭然です。枚数が多いと貼るのはちょっと面倒ですが、景品を貰うためには仕方がありません。小さく印刷された『点数』や『マーク』を1枚ずつ糊やテープで台紙に貼って行きます。私の知っている限り、全部の企業はこのような応募方法を採用しています。
しかし、この応募方法とは違う企業があるのです。乳飲料で有名な企業です。半年に1回程度、楽しい景品が当たる懸賞を企画しています。我が家では、毎日ヨーグルトを食べていますから、1㎝四方の小さな『マーク』はすぐに20枚・30枚溜まります。そして、景品が魅力的なので、既に10回や20回は応募しているはずです。ヨーグルトは美味しい、景品には夢がある、という企業ですが、私は応募方法に不満を感じています。この企業では、自分でプリントアウトした用紙を封筒仕様に切り抜き、糊付けして封筒を作るのです。そして、小さな『マーク』、何十枚かを糊付けした封筒にバラで入れるのです。小さな『マーク』ですから数え間違いの可能性はあります。24枚のつもりが23枚しか入ってないかも知れません。あるいは、1枚だけ封筒の中の糊の部分にくっついてしまい、担当者が封筒から取り出そうとしたときに『枚数不足』ということで失格になるかも知れません。台紙の所定のスペースに1枚ずつ貼るようなルールになっていれば応募者の数え間違いは防げます。
懸賞の担当者だって小さい『マーク』を1枚ずつ数えるのは大変です。合理的ではありません。
そんな話しを仲間にしたら、仲間は「企業の懸賞担当者は、何千人もの応募者の封筒を開けてマークの枚数など確認しないよ。未開封のまま封筒の抽選を行い、当選者となった人の封筒を開けて枚数を確認するんだよ。不足していたら失格、あらためて選び直す、ということだね」
な~るほど、それは合理的な発想だ。でも、企業にとっては合理的でよいけれど、応募する消費者の立場はどうなるのでしょう?とても面倒な作業ではあるけれど、何とか懸賞に当るように祈りながら、小さな『マーク』を1枚ずつ慎重に数えているのが消費者です。間違えてはいけないと思って、2度3度、数え直しをする人もいます。この企業の大切なファンに対して、ずいぶん無駄な手間と時間を強いていることに気づいていないのかしら?どうして自分たちだけが合理的な方法しか出来ないのでしょうか?『企業目線の発想』ですね。