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クレーム千夜一夜 < 第28夜 アメリカ合衆国大統領選挙の「怪」 >
アメリカ合衆国の大統領選挙では、総得票数が多い候補者が勝利するのではなく、各州で決められた選挙人の数の合計で多かった陣営が勝利する、ということは知っていた。
州によって選挙人の数が決められて、その州で得票数が多かった候補者がその州の選挙人の数を「総どり」で獲得するということも知っていた。
だから、カリフォルニア州55人、テキサス州38人、フロリダ州29人、ニューヨーク州29人のように選挙人の数がとても多い州、大票田の州で候補者は選挙運動に力を入れるのは理解できる。モンタナ州、ワイオミング州、サウスダコタ州、ノースダコタ州のように3人しか選挙人がいない州で選挙活動をする時間が有ったら、上記の州で選挙活動をした方が戦術としては圧倒的に効果的で効率的なのだ。
だからこそ、大票田の州にエネルギーを集中させる戦術の方が勝利のゴールへの早道となるのだ。それも知っていた。それゆえに、各州で総どりした選挙人の総人数を、集計すれば、どちらが勝利したのか?誰が大統領に決定したのかが分かるのだと思っていた。
ところが、そうではないところにアメリカ大統領選の「怪」がある。選挙人は選ばれるだけの形式だと思っていたのに、後日投票するようだ。そんなこと思ってもみなかった。逆に言うと、選挙人の総獲得数で決まるのではなく、選ばれた選挙人が投票した結果で大統領が決まるのだそうだ。何で?
選挙人の数が決まった時点で勝敗は決まっているのに?どうして、あえて、後日、選挙人が投票しなければならないの?さらに、どうして二度手間なことをするの?初めて知ったことだけど、候補者側から選ばれた選挙人なので、自分たちの候補者に投票するのは当たり前と思っていたが、そうではないらしい。相手陣営の候補者に投票する選挙人もいるそうだ。「不実な選挙人」と呼ぶそうだ。
え~っ?何で?選挙人を多く獲得した候補者が大統領になるというルールの中で決まったも同然のことなのに、自陣営の選挙人の中で、別な相手側の候補者に投票する人がいるだなんて?せっかく国民が直接選挙のようなスタイルで投票したのに、最後は選挙人の投票で決まるだなんて、国民が選ぶ選挙の意味がなくなってしまう・・・。どうして、選挙人が後日投票するなんていうルールにしているのだろう?どういう意味があるの?「怪」。
国民の過半数はA候補者に投票したのに、それでは決まらない。さらに、州の得票数を集計した結果、選挙人数はA候補者の方が多かったのに、最後の最後で選挙人の一部が造反して、B候補者に投票してしまう。選挙人の投票数では「裏切り」があったため、B候補者の投票数の法が多くなり大統領に当選してしまったら、
と考えると、このアメリカ合衆国の選挙制度の矛盾・「怪」を感じる。
TVの報道番組で解説者が言っていた。今回の選挙によって当選した大統領は、今の制度のおかげで当選したのだから、選挙制度を替えようという動きは出て
こないだろう。前の大統領も同じ考え方だろう。選挙制度は変わるはずがない・・・と。
今回の結果でも、トランプに投票した人は6千万人を超えていて、過去最大の得票数だそうだ・・・。6千万人全員ではないが、多くの支持者たちが選挙結果に異を唱えている。この事実を見ると、この自由と民主主義を標榜しているアメリカ合衆国への私の期待感・信頼感が急速に萎んで、衰えていった。