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クレーム千夜一夜 <第18夜 謝ってもらえれば気が済む話・・・>
ある地方都市で、夕方からの仕事を終えてホテルに戻る際に、駅前にある超有名百貨店の生鮮食品の売場で美味しいお寿司と缶ビールを買って帰ることにしました。
地下の生鮮食品の売場に行くと、ありました、ありました。19時頃でしたのでお寿司は少なくなっていましたが、美味しそうなものがいくつもあり、そのうちの一つとビールを買ってホテルに戻りました。
ホテルでシャワーを浴びた後、有名百貨店で買ったお寿司とビールを袋から出して開けました。
何と、箸が入っていません。「いけねぇ~、箸を入れて欲しいとは言わなかったからなあ、言えばよかった」と思い、あらためて手を洗って、手で食べることにしました。自分のケアレスミスを悔いながら、お寿司が入っているパッケージを開けました。
何と、醤油が入っていません、生姜も入っていません。
「あらまあ、買う時、確認しなかったからなぁ」と自分のミスを反省しながら醤油を付けずにお寿司を食べました。
何と、食べたのですがワサビが感じられません。お寿司が入っていた箱を見ると「さび抜き」とラベルが貼ってありました。
「あらまあ、“さび抜き”と書いてあるじゃん。さび抜き~?」
よく見ると目立つところに“さび抜き”と貼ってあるので決定的に私のケアレスミスでした。子供にはワサビを食べさせたくない、と常に意識しているお母さん方であれば意識してラベルを見るでしょう。しかし、ワサビが入っているのが当然だと思い込んでいる私には、そんな意識はありません。
箸無し・醤油なし・ワサビ抜きのお寿司の“美味しいこと”“美味しいこと” 決してこのことは忘れません。
自分のミスを棚に上げて、超有名百貨店のサービスの悪さを感じました。確認しなくても、そちらから積極的に言うのが普通なのでは・・・?
「箸はご入用ですか?」「お醤油はどうしますか?」「“ワサビ抜き”のお寿司ですけれど、よろしいですか?」と。
自分が悪いのは重々理解していますが、やはり気分が悪い晩御飯でした。よっぽど、電話して文句でも言おうかな、と思いましたが、自分のミスを自覚していたので止めました。
クレームにはこのようなものもあるのでしょうね。「一言でも言っておきたい」というのは少なくありません。
仮に、私が電話でもしたらどの様な返事が来るのでしょうか?
勝手に想像してみました。
「お客様、お寿司のパックの蓋のところに大きく“ワサビ抜き”と書かれていますが・・・、いかがでしょうか?」
「お客様、私どもは“エコ”を徹底していますので、お客様からのお申し出がございましたらすぐに対応させていただくのですが・・・。お申し出をいただいたのでしょうか?」
なんて言われそうな気がします。
自分が悪いと思いながらも「一言・・・」と思っている人に企業側からそんな“正論・理屈”が返ってきたら・・・。
“クレームに火がついてお客様が大声で怒鳴り出す”というのはこういう返事が返ってきたときなのでしょうね。
「何ぃ~?そちらがちょっと気遣いして、一言サービスを徹底すればいいじゃないの。それがサービスというものだろう。何言ってんの!」とヒートアップしてしまうのでしょうね。
そんな意識を全く持っていない企業側は、正論を述べるだけです。自分たちが正しいと。
さらに、お客様の中には、箸や醤油を入れましょうか?と尋ねると「見ればわかるだろう、不要だから何も言わないのに、何言っているんだ!」とお怒りになる人がいらっしゃるのです。ですから、私たちはご要望があった時だけ入れております、と。
自分たちは正しいというスタンスで懲りずに同じような“理屈”が返ってきそうな気がします。
クレーム対応が燃え上がってしまう、というのはこういう場面のことを言うのでしょうね。
このような時の対応は簡単です。
「箸と醤油が入っていなかったのですね、申し訳ございませんでした。今後このようなことがないように、あらためて販売員全員に徹底させます。本当に申し訳ございませんでした」と。
謝ってもらえれば気が済むクレームなんて“ヤマ”とあります。安いものですよ、丁寧にお詫びをすれば解決するのですから・・・。