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クレーム千夜一夜 <第14夜 新国立競技場の建設費が1300億円が既成事実化していませんか?>
安倍首相は、7月17日2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の建設計画を白紙に戻し、ゼロベースで計画を見直すと明言しました。
森元首相は「まるでドロッとした牡蠣を思わせるこのデザインは好きではありません」という他人事のような発言をこの期に及んでしているように(今頃言うか?)女性建築家ザハ・ハディド氏がデザインした、今後どれだけ「金食い虫」になるか分からない競技場の建設計画を断念したことは朗報の部類に入ります。走り出すと止まらないと言われる公共事業を安倍首相の決断で止めることが出来た、とも評価されているかもしれません。この決断は遅きに失した感はあるものの、今までの流れからするとしぶしぶではありますが朗報の部類に入ると思います。もちろん、安保法案の強行採決のイメージを薄めるための「めくらまし」だという声は当たってはいると思いますが・・・。
しかし、ここで私たち国民は油断・勘違いをしてはいけません。騙されてはいけません。「白紙に戻す、ゼロベースで計画を見直す」という意味は、計画を最初から練り直すことです。今までの計画はすべてなかったものとしてゼロの状態から計画し直すことです。今までのしがらみを捨て、スタート時点に戻ることになります。
そういう観点からすると、TVや新聞は新国立競技場の建設費用が1300億円にどれだけ近づけられそうか、という角度から報道していることに違和感を覚えます。だいたい、基本の1300億円という建設費を私たち国民は承諾したのでしょうか?誰がどこでこんな巨額な1300億円を決定したのでしょうか?
2520億円の建設費が今後どれほど膨らむか分からない、今の日本にそんな財政的な余裕はない、少しでも経費を落とす努力をしないと、と厳しいコメントを出している多くの評論家がまるで基本の1300億円は既に国民が承諾した決定事項のように発言していることに穏やかな気持ちではいられません。
ちょっと待ってください。白紙ですよ、ゼロベースですよ。基本とはいえこの巨額な1300億円なら何ら問題ないのですか?
今までの各国のオリンピックスタジアムの建設経費の概算を見てみましょう。
今までの各国のオリンピックスタジアムの建設経費の概算を見てみましょう。
○1996年 アトランタ オリンピックスタジアム建設費 約250億円
○2000年 シドニー スタジアム・オーストラリア建設費 約660億円
○2004年 アテネ オリンピックスタジアム建設費(修繕) 約360億円
○2008年 北京 北京国家体育場建設費 約510億円
○2012年 ロンドン オリンピックスタジアム建設費 約900億円
○2016年 リオデジャネイロ エスタジオ・ド・マラカナン(修繕)建設費 約550億円
どこに1000億円以上の建設費を投入した国がありますか?あの、アメリカに次いで世界第2の経済大国である中国、ライバルの中国ですら、510億円です。あの国威高揚のプライドの高い中国ですら・・・。その中国の2.5倍の建設費の1300億円を、日本中がまるで決定しているかのような錯覚を起こしています。誤解をしてはいけません。安くなったと感じているその1300億円ですら(多分、2000億円前後の建設費になって、建設費を下げました。私が努力をして下げました、という〝てがら自慢”の政治家が出てくると思いますが)今までの建設費に比べると圧倒的に突出しているのです。1000兆円の負債を抱えている今の日本に建設費が安くなったからと言ってこの巨額な1300億円に固定させてはいけません。
今一度申し上げますと、白紙・ゼロベースです。2020年のオリンピックまで工期が間に合わない?間に合うような設計をすればよいのです。競技場の機能を損ねることなく、建設費も可能な限り何百億円に下げていくような計画になるように日本国民が注視していかねばなりません。国民的な理解を得ることが出来れば、本当の意味の私たちの「新国立競技場」の建設・完成に向けて日本国民が支援していきますし協力していくに違いありません。